真言宗のお寺で出家得度して尼となり、修行を続けながらの自分自身の心の成長を綴っています。

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出口


春のお彼岸が過ぎて夏のお盆がやってくる頃、
妹のパートナーが新しい美容院をオープンしました。

それに伴って、
妹は彼との新生活の為に、
バタバタと引っ越していきました。

今年のお正月に、うちでみんなで集まった時、
その話はまだ具体的には決まっていなかったけれど、
本当はみんなの霊域ではこの話は既に決まっていて、
誰も口には出さなかったけれど、
あの集まりは、妹夫婦の新しい旅立ちを祝う為のものだったのだと気付きました。

私も月に一度のベースで新しいお店に呼ばれることになり、
そこで人生相談の仕事をさせてもらうことになりました。

その初仕事の日が夏の暑い日にやってきて、
私はスカイツリーを目指して首都高に乗り、
新しい『職場』に向かって車を運転したのです。

車を飛ばしながらいろんな想いが湧き上がりました。

ちょうど今から二年前、
師匠が『私も新しい場所に移って自分の夢を果たさなければならない、
そうしないと私の人生もあと二十年くらいなんです、
瑠史さんの観音院も二年後にはしっかりと形になっていると思いますし、
私達は離れながらもみんなで同じ仕事をしていくのですよ』と、
私に言ってくれたことを思い出しました。

うちが新しい場所に引っ越すわけでもなし、
自宅に見えるお客様の数がどっと増えるわけでもなく、
二年後に観音院が完成するとはどういった意味なのかと思っていたものの、
ひとつは妹の新しい職場が私の新しい職場となり、
もうひとつは、インターネットでの相談件数が、
仕事の追いつかないくらいに盛り上がり、
毎日私はどなたかの相談に答えるという日々を、送るようになったのです。

どちらも、私自身の想像していた『かんのんいん』とは違い、
ひとつはインターネットという場所を持たない空間で、
もうひとつもやはり、妹の職場という、
物質的には私の持ち物ではない場所という、
仏様の用意してくれた不思議な『空間』だったのでした。

そして二年前に妹が流産した時のことも思い出しました。
あの時師匠は、
『妹さんに、決心させる為にやってきた赤ちゃん』だったのだと、
ただ、繰り返して私に言ったのです。

その決心とはこのことだったんだと思いました。

新しいお店を開いたパートナーと一緒に、
それから毎日それを手伝いながら、
お店の中にミシンも置いて、自分の仕事も頑張っている妹を見て、
二年前にはモヤモヤとした『未来像』としてしか存在していなかったこの生活を、
あのときに妹は『現実に降ろそう』と決心したのだと思いました。

全ては無意識に動いているのだと思いました。

私達はみんな、自分の未来に進む為に、
毎日毎日無意識的に、小さな選択と小さな決心を繰り返しているのだと思いました。

私がタロットカードの恩師の最後のセッションを受けた時にも、
『これまで人の手を借りてここまで来れたのだから、
面倒でも今度はあなたがみんなに手を貸していかないと。
みんな出口がどこだかわからずにずっとぐるぐる回ってるけど、
あなたはもう、出口がどこだか知ってるんだから』と言われて、
それでもどうしても立ち上がる気持ちになれず、
セッションの最後に恩師から、
『じゃあ子供が三歳になったら本格的に始めれば?
それまでは適当に、休みながらでもいいと思うよ』と言われて、
ホッとして帰ってきたのを覚えているのですが、
この秋でその次男が三歳の誕生日を迎えることを思うと、
『絶妙にみんなかつながっているんだな』と感心せずにはいられないのです。

あのセッションの日に私は、
子供が三歳になるまでの間、なんにも仕事しないでのんびり過ごそう、
育児だけを楽しみながら、一回すべてを休みたいと思い、
とりあえず、ずっと続けてきた刺繍の仕事を断り、
布小物を委託させて貰っていた委託先を二軒ほど打ち切り、
子供との時間を過ごすことにだけ集中していたのでした。

『期限が切れたのか』と思いました。

それも、妹のパートナーが突然新しい店を開くという形で、
追い立てられるように、私と妹は行動開始することになったのです。

妹の店に向かいながら、
私が小学生の頃に妹を連れて、
家の屋根に登って遊んでいた日々のことを思い出しました。

父親がある日突然無職になり、
それから母が父を軽蔑し始めて、
私が小学校5年生の時に、母は外で働き始めました。
夏休みの間は、その時四歳だった妹の面倒を任されて、
妹が保育園に行かない日には、家の中で妹と二人きり、
親のいない時間が、寂しさよりもむしろ、
親の罵声を聞かなくて済む自由な時間だとさえ感じていました。

親がいなくなるとタンスの上によじ登り、
妹の手を引っ張って、妹もタンスの上まで引き上げました。
それから、小さな欄間の窓からスルリと外に出て、
まずはテラスに足をかけ、妹の手を引っ張り上げて、
二人で屋根の上によじ登り、
屋根の上で仰向けに寝転がって空を見たのです。

4歳の妹と11歳の私が、
流れる雲を目で追いながら、あの日二人で描いていた夢が、
形になったところに今いるのだろうと思いました。

ふいに自殺してしまうのではないかと、
ずっと心配し続けてきた妹が、明るい笑顔で仕事している姿を見て、
目には見えない仏様の恩恵を強く感じましたが、
私はこれまで妹の暗い姿に自分を映し出して見ていただけに過ぎなかったのだということにもまた、同時に気付いたのです。

これからまた新しく出逢う方達に私は、
地獄から通じる極楽への道を案内したいと思いました。

私は、出口がどこにあるのか、知っているのです。








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プロフィール

瑠史

Author:瑠史
十一面観音をお祀りして、自宅でかんのんいんを開いています。

第三子を妊娠中に出家得度して尼となり、OSHO禅タロットを使った個人セッションを受け付けています。過去から未来までを見通し、人生を変えたい方のお手伝いを致します。

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