真言宗のお寺で出家得度して尼となり、修行を続けながらの自分自身の心の成長を綴っています。

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訃報


OSHO禅タロットカードの恩師との再会を終えた後の、
四月のある晴れた日に、

師匠が他県から車を走らせ、
お経の読み合わせの為に、
うちまでやって来てくれました。

妹にも来てもらい、
お経を読み合わせている間に次男を見ていてもらって、
師匠との楽しい時間を過ごしました。

お茶の時間になり、
お互いの新しい生活の報告をし終えると、
私は、師匠に対して何も話すことが浮かばない自分に気が付きました。

何の会話もないまま、
何度もしんと静まり返る瞬間をやり過ごして、

「昔はあんなにたくさん聞いてもらいたいことがあって、
教えてほしいことや聞きたいこともたくさんあって、
時間が足りない程だったのに、
こうしてせっかくうちに来て頂いても、
何もお話することが浮かばないのです」

と、私は思ったことをそのまま師匠に伝えました。

「それは、いいことですね」

と師匠は答えて、微笑みました。

いいことなのかもしれないけど、
なんて張り合いのないつまらないことだろうと、
私は思いました。

悩み事に心を縛られていた時の、
なんて張り合いのある、楽しい毎日だったのかと、
やはり、心の行き場が定まらないのでした。

「ところで、お寺をお手伝いされていたお二方は、
一緒に引っ越しをされなかったと聞いていますが、
お元気にしているのでしょうか?」

と私は、お寺で修行されていた、
兄弟子夫妻のことを尋ねてみました。

「…まだ、お知らせは来ていないのですか?」

と、師匠が含みを持った眼差しで、
一瞬、黙り込んでから私を見つめました。

その、師匠の目を見て、
嫌なことが起きたのだと、すぐにわかりました。

そう予感しながら、

「まだ…聞いていません」

と答えると、

「…亡くなったんですよ」

と、師匠が答えました。

兄弟子夫妻の奥様のほうが、
節分の日に事故で亡くなったというのです。

お寺が他県に引っ越しをされた翌月に、
亡くなられたというのです。

「うそ…信じられない」

と、妹が先に口に出し、
私は何も言えず、そのショックと向き合い切ることができませんでした。

兄弟子様の奥様は、
私よりも年下で、

お寺に出かけると必ず私を笑顔で出迎えてくれて、
いつも親切に、
手作りのおやつや料理で持て成してくれたのです。

私よりも若い、そんな彼女を、
私は姉のように感じて、慕っていたのです。

死因は事故ということでしたが、

あのような心の綺麗な方というのは、
お寺でなければ生きられなかったのかというのが、
私が直感的に感じたことでした。

彼女を想って涙が出てきたのは、
師匠と別れてから三日も経ってからのことでした。

私は彼女を想ってわぁわぁと号泣し、

生きることがつまらないとか、
やるのが面倒だとか、

怠け心に負けていた自分を深く反省しました。

それから、お寺と、最愛の奥様との両方をいっぺんに失った、
兄弟子様の気持ちを想い、泣きました。


そして、師匠の夫であった、
亡くなられた副住職様が亡くなる前、一番最後に、

「怠けずにどんどん修行して、
生きている間にしかできないことを、
休まずにどんどん行動して」

と仰ってくださったことを、
また、思い出したのです。

それから一週間と経たないうちに、
タロットカードの恩師の具合が悪くなったという連絡が入りました。

今日まで当たり前のように隣にいてくれた人が、
明日にはもう、目の前から消えて、
別次元へと移動してしまう世界を、
私達はみんな、自覚なく生きているのです。

そして、自分もまた、
今日まで当たり前に出来ていたことが、
明日にはできなくなるかもしれず、
「変化する」ことだけが真理という、
無情な世界を生きているのです。

死はいつでも隣り合わせに存在していて、
決して、遠い何処かにあるわけではないのです。

「兄弟子様に会いに行こう」

と決めた私は、
これまで以上に、生きている今日に感謝しながら、
家族との時間を大切に過ごしたいと思ったのです。


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プロフィール

瑠史

Author:瑠史
十一面観音をお祀りして、自宅でかんのんいんを開いています。

第三子を妊娠中に出家得度して尼となり、OSHO禅タロットを使った個人セッションを受け付けています。過去から未来までを見通し、人生を変えたい方のお手伝いを致します。

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