真言宗のお寺で出家得度して尼となり、修行を続けながらの自分自身の心の成長を綴っています。

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波に乗る


毛糸を取り出してきた母は、
赤ちゃんの靴下と帽子を編みながら、

二度目の中絶手術の時の話を始めました。

「あれはおまえが9歳で、まりが2歳7か月の時だった」

と母は話し始め、

「診療所で注射されて、
そのあと腕と頭がビリビリ痺れはじめたの。
診療所で痺れの治まるまで休ませてもらってから帰って、
妊娠二か月だとわかったの。
あの頃はサリドマイドとか報道されている時代で、
そういう子がもし産まれたら困ると思って中絶したの」

と言い、

「とにかくあの頃は、誰でも軽く中絶したのよ。
小さいうちはまだ人ではないと言われていたし、
罪悪感なく、みんなそうしたの。
きっと、片手では数えられないくらい中絶した人もいたはず。
昭和はそういう時代だったのよ」

と、詫びるように話したのです。


それから母は突然黙り込み、
黙々と編み物を進めました。

次男も昼寝を始め、
静かな部屋で、手を動かし続ける母の横で、
私もうとうと居眠りを始めました。

「ねえ、この大きさで(足が)入ると思う?
たぶんこれでぴったりなはずなのよ。
たぶん、ぴったりだとおもうの。」

突然、片足を編み終えた母に話しかけられ、
母の編んだ若草色の小さな靴下を見た私は、

「かわいい、ぴったりだと思うよ」

と答えました。


そして、自分が10年前に水子供養をしてもらった時には、
手作りの指人形を5つ、
フェルトで作ってお寺へ持っていったことを思い出しました。

私は中絶はしたくなかったし、
産みたかったのです。

でもこの社会で生きていくには、
社会のルールに従うしかなく、

産む場合の苦労の方がずっと大きいとしか思えずに、
やむなく選択した結果でしたが、

「もし生まれていたら、
この指人形で遊んであげたかったし、
このお菓子を食べさせたかった」

という想いで選んだお菓子を指人形に添えて、
師匠の唱える地蔵和讃を、

泣きながら聴いたのです。


母も同じ想いで、編み物を進めているのだと思いました。

後悔して反省して、

懺悔の想いで、

もし生まれていたら履かせたかった手編みの靴下を履いてもらって、

蓮の葉の上に眠ってもらうつもりでいるのだと思ったのです。


次男が昼寝から目覚めてむずかるのと同時に、

「できた、帽子もこんなに小さくてもちょうどいいよね?」

と母が、
靴下と同じ色の、ポンポンつきの小さな帽子を見せてきました。


「それで、水子供養のお布施はいくらなの?」

と母が立ち上がったので、

「ちょっと高いんだけど大丈夫かな?
一体につき三万円なんだけど」

と言うと、

「二体で6万か。
わかった、ちょっと銀行に行ってくるから待ってて」

と言って家を出ていきました。


いつでもお金の心配をしている母が、
渋らずに大枚をはたくと潔く言い切り、
一人で銀行へ行ったのです。


「封筒にはなんて書けばいい?お布施?」

すぐに戻ってきた母は、
六万円を封筒に入れて、筆ペンを持ってやってきました。

「大丈夫?もし大変だったらお金はたて替えておくし、
少しずつ払ってもらってもいいんだよ?」

と言った私に、

「高くないよ。こういうお金はいいの。
もし生まれていたら、もっと遣うはずだったでしょ。
一回くらい遣ってあげたいし、
いいところに逝ってもらいたいから」

と母は答え、
封筒に『御布施』と書くと、靴下と帽子と一緒に袋に入れて、

「私はお寺へは行けないけど、
よろしく頼みます。
そしてこの供養が終わったら、
もう二度とこの赤ちゃんの話はしないで。」

と言いました。
そして、

「この供養が終わったらみんな良くなる。
あんたもまりこももっと良くなるし、きっと全部のことが変わっていく」

と言いました。


ちょうど自宅からオラクルカードを持ってきていた私は、

「では一枚引いてみてください」

と母にカードを渡すと、

母の引いたカードは『波に乗る』とうカードで、

『潮の流れが変わりました。
すべてが成功へと導かれています。
確実に正しい道にいることを知ってください!』

というメッセージが書かれていたのです。


40年以上経ち、
ようやく水子供養を決意した母が本当に決めたことは、

産みたかった赤ちゃんを手放すこと、
夫や、その周りの人間みんなを赦すこと、


自分自身を縛り付けていた想い、
執着心、わだかまりから解放されて、


『自由になること』


なのだと、

強く感じたのです。




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プロフィール

瑠史

Author:瑠史
十一面観音をお祀りして、自宅でかんのんいんを開いています。

第三子を妊娠中に出家得度して尼となり、OSHO禅タロットを使った個人セッションを受け付けています。過去から未来までを見通し、人生を変えたい方のお手伝いを致します。

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