真言宗のお寺で出家得度して尼となり、修行を続けながらの自分自身の心の成長を綴っています。

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欠陥品


「あんたが生まれた時だって、
障碍児が生まれたと思って、本家の義姉さんは喜んだのよ」

私の質問をきっかけに、
母の心は遠い40年前へと戻っていきました。

「私の学生時代の成績表だって、
高校生になってからの良かった成績表は捨てられて、
中学生の時の、3ばっかりの成績表だけ残されてた。
義姉さんが嫁に来て家を漁って、そういうことをやったの。
私が馬鹿だってみんなが思うように、
みんなでそういうことをやり続けたの。」

母は私を見ているようで、
私を抜けて、どこか遠くで話しているように見えました。

「あんたの足の手術のときだって、
誰も来てくれなかった。
義姉さんだって、たったの一回、お見舞いに来ただけ。
でも一番悔しかったのは、お父さんが来なかったこと」

と母は言いました。

「あんたの父親はね、見栄張りだから。
あんたが股関節脱臼なんかで生まれたでしょ、
手術で死んでもいいって思ってたのよ。
障害児では親にも親戚にも自慢できないじゃない。
こんなに小さい子に全身麻酔の大手術だったのに、
死ぬかもしれないのに、来なかったの。
ああ、あの人はこの子が死んだら死んだで構わないって、
そう思っているんだなって、私にはわかったから。
あの時から私は、お父さんに幻滅しているの」

母はそう言うと、
どこか力なく俯きました。


その話を聞いて、
自分の見た夢の内容を思い出しました。

「じゃあなんで私の足に傷つけたの?
どうして手術の日に来なかったの?
私のことなんて愛していなかったんでしょう?!」

夢の中で私は確かに父に向かってそう叫び、
それは日常、起きているときには全く意識できずにいる、
隠れた自分の本心だったのです。


しかし、その夢で自分の抑圧した想いを吐き出したせいか、
母からその話を聞いても、怒りの気持ちは湧きませんでした。

それよりも、

「それならお母さんは、
私が死んでもいいと思わなかったということだね。
お母さんは私が欠陥品でも、愛してくれていたんだね」

という想いが湧き上がり、
母の話を聞きながら涙があふれたのです。


母は、本家の伯母が病院に来なかった、
たったの一度見舞いに来ただけ、

と繰り返し言い、

それはこれまでにも何度も聞いた話だったのですが、

自分の両親が、病院に来たとも来なかったとも、

両親のことを私に話したことが、
これまでに一度もなかったことに気が付きました。


しかし、
祖父と祖母がもし来てくれていたのだとしたら、

「お祖父ちゃんとお祖母ちゃんは来てくれた」

と、その報告もしつこく繰り返したはずですし、

「手術の日にひとりぼっちだった私に、
同じ病室のお母さんたちがついていてくれて、
私を励ましてくれた」

と言ったのです。


「私の足の手術は、二歳の時が最初の手術だったでしょ?
何月ごろに手術したの?」

と私が尋ねると、

「夏は化膿しやすいと言われて、
いつも冬に手術したの。
それから夏に、中に入れた金具を取り出す手術をして。
新緑が綺麗だったことを覚えているから、
あれは5月とか、6月だったのかな。」

と言いました。

その手術を、3~4年繰り返し、
重いギプスをつけた私を背負って通院した母の思い出には、

いつも父親の登場することはなく、

母の両親が手伝ってくれた、
という話も、一切聞くことはなかったのです。


母が本当にそばにいてほしかったのは、
自分の両親だったのではないか、

という気がしました。


まだ二十代前半だった母に、
たった一人で背負うには重い荷物だったのだろうと思ったのです。


母は一体、
家の中から誰に向かって叫び声をあげているのか。

叫び声をあげているのは、
愛されずにすっかり病みきってしまった母のインナーチャイルドで、

それは伯母や従弟という他人に向かってではなく、

他界して居なくなった自分の両親に対して、
鬱積した想いを吐き出し続けているのではないか、

という気がしました。


しかし、その事実と直面することは、
母が『私は愛されていない』という厳しい現実と向き合うことであり、

心の弱い母にはまだ当分、
自分の本当の想いを直視できずにいるのだろうと、

感じたのです。





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プロフィール

瑠史

Author:瑠史
十一面観音をお祀りして、自宅でかんのんいんを開いています。

第三子を妊娠中に出家得度して尼となり、OSHO禅タロットを使った個人セッションを受け付けています。過去から未来までを見通し、人生を変えたい方のお手伝いを致します。

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